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東京家庭裁判所 昭和39年(少)11680号 決定

少年 K・K(昭一九・一二・一二生)

主文

少年を中等少年院に送致する。

少年院に収容する期間は、昭和四〇年六月三○日を限度とする。

理由

(本件虞犯事実)

少年は昭和三八年五月二〇日当庁において傷害保護事件により東京保護観察所の保護観察に付され、現に保護観察中の者であるが、保護者及び担当観察官の正当な監督に服さず、昭和三八年五月二〇日頃家出し、同年六月一八日頃、秋田市内で警察官に保護され、昭和三九年一月二〇日頃、同月三〇日頃、同年四月六日頃、同月二六日頃の四回にわたり家財を持出して入質しパチンコ等の遊興費に消費、職場に就いても短期間で退職して徒遊する等の問題行動のあつた外、昭和三八年一一月三日頃継母に対して暴行を加え約二週間の加療静養を要する身体の機能障害を与える等の非行があつたもので、その性格行動傾向等に照して将来罪を犯す虞のある者である。

(適条)

少年法第三条第一項第三号イ、ロ、ニ

(本件につき少年を中等少年院に送致する事由)

本件は、昭和三九年六月一二日東京保護観察所長より、犯罪者予防更生法第四二条にもとづき通告を受けたものであるが、調査及審理の結果によると、少年については上記虞犯事実が認められる外、その知能性格その他心身の状況、生活史、非行歴、家庭状況、生活環境等について少年にかかる少年調査記録中の各書類に記載してあるとおりの事実が認められる。

以上の事実に照らすと、少年が同種非行の再発からまもられ、かつ、健全な社会人として成熟し、社会にも家庭にも適応するためには、担当調査官の意見どおり(昭和三九年六月二六日付少年調査票中調査者意見欄参照)、主文掲記の期間を限度として少年を矯正教育に託し、その心身の状況に適した専門的処遇を受けさせることが必要であると思料される。

よつて、本件通告を認容し、鑑別結果による判定(昭和三九年六月二六日付鑑別結果通知書参照)にしたがい、少年を中等少年院に送致することを相当と認め、犯罪者予防更生法第四二条、少年法第二四条第一項第三号を適用の上主文のとおり決定する。

(裁判官 市村光一)

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